林と原の器づくり

瀬戸で陶芸を学んで、東京で作陶している2人の制作・作品について紹介するブログです。

サンプル完成

四角小皿のサンプルができました。

サイズ感や形はほぼイメージ通りできました。重さとか絵柄とかはもうちょっと色々試せるかなー。それにしても私のつくる型のクオリティーが低すぎて笑っちゃいます。でも単純な形のほうが絵は描きやすかったりするし、この緩さも個性ということでこれはこれでよしとします。

言い訳をするわけではないですが、苦手なことを、今自分が出来る技術と工夫で乗り越えていくことで個性が伸びていくようなことってあると思います。

それぞれの工程を完璧に完成度高く仕上げていけば必ずしも良いものができるというわけではないのが陶芸の難しいところで面白い部分だと思います。

ただ手作り感がありすぎてもいけないというか、器としてちゃんとしていなくてはいけないのでそこら辺のバランスは意識して、努力もしなくちゃなーと思います。

他の作家さんの器と食卓空間に並べて違和感がなければひと安心です。

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石膏型

原です。注文品を作りながら新作も少しずつ考えています。

少し前に石膏型を作りはじめました。私は計画性もないし、すばやい判断力もないので石膏がほどよい固さになったら流し、固まりすぎないうちに余分な部分をそぎ落とすというスピード勝負は本当にげっそりしてしまうくらい苦手です。

でも塊から少しずつ削り出していく作業は嫌いじゃないです。反転させて考えるのは頭をつかうけど。今回はシンプルで使いやすい四角小皿を作ろうと思ってます。イメージ通りいくのでしょうか。

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陶芸業界考察

こんばんは、林です。

ここ数年ずっと気になっていたことなのですが、「僕がいいなぁ~と思う陶芸作家さん」と「現在人気があるといわれる陶芸作家さん」が一致しないことが多くなってきた気がします。

これは僕の好みが時代からずれてきているのか、一体なんなのかとモヤモヤしていました。

僕が陶芸の学校に入ったのは今から15年程前(数えてみてビックリ!)なのですが、その頃僕の周りで一番人気があった作家さんは内田鋼一さんだったのではないでしょうか?素人同然の僕から見てもその作品は圧倒的にかっこよく、あこがれの存在というよりは雲の上の人でした。そして展示会も非常に人気があり、すぐに作品が完売といった状況でしたね。

それが現在では僕がよいと思う作家さんが大人気とは限らず(逆もある)、僕の感覚と世の中の人気にずれが生じているのがずっと疑問でした。

ところが先日読んだ本で、僕の好きな小説家さんがロックについて「60年代、不良の音楽であったロックが70年代後半になって大衆的かつ商業的になっていき、自分にとってはつまらないものになっていった」といったようなことを書いていたのですが、これがいまの陶芸界に起こっていることではないか思います。

15年前には個人作家の作品なんて一部の人が買い求めるもので、ギャラリーもちょっと入りにくいような店が多かった。それが今では雑誌でも頻繁にとりあげられ(器だけではなく作家本人も)、売られているのもカフェギャラリーやネットショップやクラフトフェア、洋服屋でも売られてたりしますからね。これは急速に大衆的で商業的になってきたということでしょう。そしてその原動力となったのはSNSですね(これについてはまたいつか)。

そうなると人気に大きく作用するのがメディアのチカラ。雑誌とかの影響が大きいわけです。それによってアイドル的存在も生み出されることになるわけです。

今の陶芸界の人気とは、これまでニッチな世界だった陶芸界が大衆的になり、急にヒットチャートが作られたような感じではないでしょうか?ベテラン実力派歌手や若手シンガーソングライターやアイドルまでがごちゃまぜになっている陶芸ヒットチャート、そりゃ僕の感覚とは一致しないわけだと思いました。

ただ僕はこの現状を否定も肯定もするつもりもなく、「あぁそうだったのか」と腑に落ちただけです。陶芸が一般的になったことで仕事が増え、僕がその恩恵を受けているのは間違いなく、それがなければすでに破たんしていたかもしれませんから。

そこで問題となるのは、これから僕はヒットチャート上位を目指すのか、知る人ぞ知るシンガーソングライターでやっていくのか。これは考えるまでもなく知る人ぞ知る路線ですね。なにしろルックスからしてアイドルとは程遠いですから(笑)。それに音楽業界をみてもわかるように、ヒットチャートは浮き沈みが激しいですからね。

僕と同じようなモヤモヤを抱えた作家さん、きっとたくさんいると思います。